日々の出来事

オトナの学園祭 〜西荻ヘブンズドア〜

2016年12月28日

今年9周年を迎える「西荻ヘブンズドア」は、その名のとおり西荻窪にある、小さなライブバーだ。
オヤジロッカーたちが集まる店として、雑誌やテレビにも何回か紹介され、今や「オヤジロックの聖地」的な場所になりつつある。
12月10日と12月25日には、9周年記念のライブイベントが行われ、25日には私も参加した。

私がこの店に通い始めたのは7年ほど前のことだった。
その年の2月、さいたまスーパーアリーナでエリック・クラプトンとジェフ・ベックのジョイントコンサートを観た私は、まるで少年のように簡単に触発され、ふたたびギターを演奏したいという欲望に取り憑かれた。
私のような演奏の素人でも参加できる、セッション的なイベントを行なっているライブバーをネットで検索し、見つけた店のうちのひとつが「西荻ヘブンズドア」だった。
それ以来、月に数回、私はこの店にギターを背負って通うようになったのだ。

一見、社交性とは縁遠い雰囲気のマスターは、実はとても社交的で、自身もドラムを演奏するオヤジロッカーだ。
彼の「誰もが気軽に演奏できる店を作りたい」という思いは、9年の歳月を経て、実を結びつつある。

2,000円、ワンドリンク付きのオトナの遊び場。
月に数回行われるライブデーは、さながら「オトナの学園祭」である。
ジミ・ヘンドリクスやニール・ヤング、クイーンやキッスになりきるオヤジロッカーたちの演奏を聴いて楽しむのもよし、自分がエリック・クラプトンになりきるのも、また楽しい。遊びとは「自己陶酔」なのだ。
そして、真剣に遊ぶオトナは誰もがキラキラと輝いていると、私の目には映る。
ドブ板の下の流れのように、薄汚れてしまった私でさえ、ギターキッズだった頃の心を取り戻すことができるのは、そこが仕事や日常生活とは無縁の、非日常的な場所だからだ。

この場所がいつまでもありますように。そう願わずにはいられない私だった。